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2010年8月1日 - 2010年8月7日

2010年8月 5日 (木)

ヘッドホンアンプと逆相クロストークについて

 最近暑い日が続いています。今年は例年になく暑いような。
 外に出るのも億劫なんですが、先日数日涼しい日があったので秋葉原にてヘッド
ホンアンプを購入。無事完成していい感じだったものの、偶々片chだけ鳴らしてみ
ると絞っている方からも音が出るではないですか。(クロストーク)最初これはアン
プの問題かと思ったんですが、調べるとすぐにヘッドホンのケーブルの問題だと
判明しました。アンプ自体は無実でした。

 この問題は、低インピーダンス駆動(つまり出力と直列に抵抗の入っていない、
ダイレクトドライブ)のアンプを使う限りある意味避けられない問題なのですが、
何故か殆どネット上でも議論されているのを見ないのでここでちょっと説明したい
と思います。
 もしかしたらヘッドホンアンプを使うからにはみなさん下記に示す対策がされ
た上等なヘッドホンを使っているから問題ないのかも?たしかに私も製作後新
しいヘッドホンが欲しくなってきました。
まあ音が出ないわけではないので気にしなければいいのかもですが。
 この問題はヘッドホンのドライブへ行く配線のリターン線がL、Rで共通しているか、
もしくは途中でリターン線同士が短絡されると起こります(例えば延長ケーブルの
使用など)。いわゆる「共通インピーダンスの問題」というものです。
 電子回路設計時でも配線でよく気にする問題です。

まず原理上クロストークが起こりにくい配線の等価回路を示します。全てのヘッドホン
が下記のような配線であれば配線でのクロストークは起こらないはずです。
(アンプの性能が十分な上で起こるとすればジャックのGNDの接触が悪い場合となり
ます。)

Hp1
Ro:アンプの出力インピーダンス
Rh:ホット側の配線インピーダンス
Rc:コールド側の配線インピーダンス
ZL,ZR:ドライバーユニットのインピーダンス


 しかし実際のヘッドホンはリターン線が接続され共通になっているか、もしくは途中
でショートされていることが多々あるようです。うちにある5000円位のインナーイヤの
やつはみんなこうなっているようです。(延長ゲーブルの類同様)

Hp2

Hp3

 この場合、Rcとつけたのが共通インピーダンスとなります。これはリターン配線
のインピーダンスです。ここで例えばRchを絞った場合を考えてみると、Lchの電
流はRcと(ZR+Rh+Ro)のインピーダンス比により分流します。つまり、Lchの駆動
電流の一部がRchにも"逆向き(逆相)"に流れることになります。これは別に片側
絞らなくても常に相互に影響しあう状態となっています。}

例えばLchの電流をI(Lch) 分流電流をir 共通インピーダンスの電流をi(Rc)とすると、

I(Lch) = ir + i(Rc)  ・・・・ (1)
ir/i(Rc) = Rc/(ZR+Rh+Ro)   ・・・・ (2)
ir = (Rc/(ZR+Rh+Ro)) x i(Rc)   ・・・・ (3)

 よってこの「逆相」クロストークを改善するには、irを小さくすればいいのですから、
(3)式の分母を大きくすればいいわけです。ここで、ZRは負荷なのでここの消費電
力で音圧が決まるので単純に増やせばいいわけではないです。またRhは配線抵
抗なのでここはわざわざ増やすところではない。結局アンプの出力インピーダンス
Roを増やすのが対策の一つとなるのがわかります。実際、出力に抵抗が入った
アンプは逆相クロストークは少ないです。
 もう一つ、リターン線を極太にして分子側を小さくしてもいいかもしれません。

 なお、クロストークは互いのchに逆相に加わりますので、同相分、つまりセンター
の音圧が少し下がり、やや音場が広がったような感じになると思います。
 POPS系ではセンターはボーカルがあるので、ボーカルが少し小さく、伴奏が大き
く聞こえる傾向になることになります。

 まとめますと、このクロストークの問題を緩和するには、左右のリターン線がHPアン
プからドライバまで接続されていないことが必要です。延長ケーブルの使用はそこで
接続されるのでNGとなります。(自作なりで分離されるようにすればもちろんOKです。)
あとは、そういう配線のヘッドホンを使うか、ケーブルを自分で替えるかでしょう。
 アンプで出来る緩和策は出力に直列抵抗を追加してその分アンプの電圧利得
を上げれば良いです。市販のAV機器のヘッドホン端子の多くは最初からそうなって
いるんで、問題となってないんだと思います。ただ低インピーダンスドライブでなくなっ
てしまいますが。
 あとの対策は....音が出ないわけではないので気にしないというのもアリかもしれま
せん。

 未確認ですが、ヘッドホンは120Ωでドライブするのが良いという仕様?みたいな
のがあるようで、これに準拠して製作されると3線式でもクロストークはあまり問題に
ならないでしょう。


 原理がわかったので、簡単に補正する方法も思いつきました。
共通インピーダンスによりお互いに、反対のchから逆相で加わるわけですから、最
初から左右少しブレンドさせとけばいいわけです。毒をもって毒を制す感じ。
つまりあえてクロストークを生じさせてHPアンプを通せばいいのです。

 この効果はわざわざ回路組まなくても、手持ちのCoolEdit2000のチャンネルミ
キサーで右の一部を左、左の一部を右に正相でブレンドさせてあげることで実
験的確認できました。
 ブレンド量はアンプとヘッドホンの状態でかわりますが、うちの環境では10%ほど
相互に加算すると、クロストークがほぼキャンセルされます。
 この原理を回路に組み込むのは容易なので、そのうち試しに実機に追加して
みようと思います。左右それぞれクロスで混ぜなくても、L+Rの信号を作ってこれ
を左右に加算してもいいはずです。
 一番簡単な回路は左右のラインに1個抵抗入れるだけでもいいはずですが、こ
れは接続先の状態に依存する上、スルーさせている場合本線のクロストークが悪化
するんですすめられません。ただし前段にバッファーいれればそれでいいかもしれ
ません。

 この種の補正は、MAXIMのICなんかでは内臓されているものもあるようです。
携帯機器は電圧が低く、低インピーダンス出力にして必要な電圧を減らすほうが
いいはずなのでこの種の補正は必要になるかもしれません。(もしかしたらそう
なっているかも??)

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2010年8月 2日 (月)

ヘッドホンアンプの製作

 この前購入した、ヘッドホンアンプを製作しました。
 アンプだけであれば、OPAMPやトランジスタ数点で出来るんで、
普通にバラで部品集めて蛇の目基板でも作成できるのですが、最近
すっかり横着になってしまい、ケース付きのキットを買ってきてしまいま
した。Linkmanというメーカのもので、マルツ電波で購入。

回路構成はオーディオ用OPAMP、NSのLME49720にダイアモンド
回路と呼ばれる、プッシュプルエミッタフォロア回路の電流バッファを
組み合わせたもの。構成は音質に定評のある回路のようです。
 そういえばダイアモンド回路は、ビデオ信号のバッファアンプにも使われ
ていたり、簡単な回路ながら、プロ仕様の機器でも使われるものだったは
ず。
 LME49720はオーディオ用の超低歪OPAMPということで、最近良く使
われているもののよう。たしかにカタログスペックはすごく、4580クラス
より一桁小さい。

 組み立て後、早速ONKYOのUSBオーディオ、SE-U55SXのライン出力に
接続して使ってますが、音質の良さにびっくり。いままでSE-U55SXのヘッド
ホン端子に繋いでまして、それはそれでそんなに不満もなかったんですが、
アンプを繋ぐと、もやもやしていたのが、ぴしっと締まった音になるのがわ
かります。低域も自然に出ています。もう戻れません。

 ところで、デジタル機器のラインレベルは大きく、32Ω程度のインピーダ
ンスのヘッドホンでは電圧利得はいらないようです。よってボリュームで絞
るのですが、ケース付属のVRは絞り切る手前でバランスに少しズレがあり
ます。ここは多少高くても高級品に変えたほうが良さげです。

 このキットは電気にあまり詳しくない人でも安全に使えるように、本来
不要な出力カップリングコンデンサもあえて入れてあります。オフセット
確認後自己責任でショートしてもいいかもしれません。
 このカップリングコンデンサは本来無極性タイプじゃないと駄目なはずで
すが...オーディオ用で大容量なのは入手困難なのか有極性のものを使って
ます。入力側のカップリングコンデンサも理論上は取れますが、こちらは
安全上いれておいたほうが無難です。小容量なので電気的に高級なものが
使えるので。

 使っていて音質はいいのですが、クロストークに問題があることが判明。
仮想GND回路のドライブ能力不足が原因のようです。両電源にすれば解決
するはずですが、ちょっと片電源で対策できないか考えてみることにします。

負荷と直列に抵抗入れればピーク電流が減って改善するはずですが、
折角低インピーダンスドライブしているのであまりやりたくない対策です。

8/3追加
 クロストークの原因はヘッドホンのケーブルのGND(リターン)線の共通
インピーダンスが原因で直接アンプが原因ではないことがわかりました。
 ただし、これは結構困った問題で低インピーダンスで駆動していることが
逆にこの問題を顕著にしてます。普通のヘッドホン端子のように100Ω位
の抵抗を出力と直列に入れていればほぼ解決します。
 この現象は、ヘッドホンのコネクタからドライブユニットまでの配線によって
変わり、リターン線が左右共通か、配線の途中どこかで繋がっているもの
は顕著になります。
 何故かあまり議論されているのを見ないので、後日改めて書きたいと思
います。これだけはいえることは、低インピーダンスで出力するヘッドホン
アンプを使うときは、ヘッドホンの端子から駆動部までの配線のリター
ン線が左右独立しているものを使わないとクロストークが悪化します。



○分岐ケーブルの製作

 HPAMPはLINEOUTから信号をとりますが、このままではいままで接続し
ていた機器が使えません。LINEOUTは比較的出力インピーダンスが低く
簡単に分岐できるので分岐ケーブルを製作します。
 この際、AMPOFF時の主ラインへの影響防止とレベル調整のため抵抗
を直列にいれています。AMPはダイレクトドライブなのと6dBのGAINがある
ため、少し落としたほうがいいみたいだからです。アンプの入力には20kΩ
のVRが入っているので10kΩいれると2/3のレベルになります。
抵抗入れたあとはあまりケーブルを長くするとケーブルの容量によりLPF
になるのでそこからは短くします。(ジャックをつける場合はそこにいれたほ
うがよい。私は手持ちの市販のケーブルを改造したので分岐点につけまし
たが。)


Hp4

 尚LINE OUTに接続した機器は、電源を入れておいたほうが無難です。
機器の設計によっては、LINE IN直下にサージ保護用のダイオードが入っ
ていますが、通電していないとそれがクリッパーになってしまうので音声が
ひずみます。(トランジスタ・OPAMPでも同様で、バイアス電圧が無いと同
様の現象になります。)
私の場合はアンプ内臓スピーカが繋がっていますが、レベル調整のため
入力直前に抵抗をいれているので問題ないのです。(PC用スピーカなんで
そもそも電流いれっぱなしですが。)

Hp5
 アンプ内部。ほとんどオフセットが無かったので出力コンデンサを外して
います。LEDは明るすぎるので定電流ダイオードではなく普通に抵抗で駆動。
基板は両面基板で、一点アースになってたり丁寧に設計されています。
音響用部品は効くところのみ使用しています。

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