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2010年8月22日 - 2010年8月28日

2010年8月22日 (日)

LTspice4を使ってみる

 回路シミュレーションというと、SPICEが有名ですが、もともとは70年代アメリカ
の大学で、IC設計のために開発されたものです。
 教育機関でつくられたので、無料でしたが、出力されるのは数字の羅列で結果
をみてもすぐには何かわからない代物だったそうな。まあ当時のコンピュータ性能
からすれば仕方が無いのですが。
 この”純正”SPICEを使った本を見たことありますが、結果は直接は「PLOT」とい
うアスキーアートと同じ手法で出力されたグラフで、これで目星をつけて細かいとこ
ろは別途出力した数値データを手作業でグラフ化していてとても大変そうでした。

 今はこれではさすがに使いにくいので、民間企業がSPICEをベースにプリポスト
等を追加してグラフィカルに使えるようになってますが(商用SPICEというものです)
、有料なものが殆どで、アマチュアレベルでは購入できるものは少なかったです。
#2-3万位のもあるにはありますが...。
 よってそこそこ使える試用版を使うことが多かったですが、昔は書籍で盛んに紹
介されたこともあり、PSpiceの試用版が有名でした。ただ、最新版では制限が厳し
くなりあまり使えないので、今はまだ弱めだった時代のVersion9という古い試用版
を使うことが多いようです。(最新は16?かな)
 試用版の現在のお勧めはSIMetrixの試用版で、これは結構大きめの回路も解
析できるのでかなり使えます。フルセット版はオプションにもよりますが100万円近い
のでまあ当然です。(それでもプロ用のSPICEの中では安価なほうです。)直感的に
使えるのもいい。グラフからの演算機能も強力です。

 そんななか、最近アマチュアでもプロでも良く使われているのが、リニアテクノロジ
ー社が無料で公開しているSPICE系シミュレータ「LTspice」です。以前も書籍を
購入したときブログに書きましたが。これは基本的にはLT社のICモデルを付属
してシミュレーションしてもらうのが主目的なのですが、普通のモデルも容易に使
えるようになっています。
無料なのでアマチュアでよく使われますが、最近は不況の影響もあるのか国内
外の企業の現場でも普通に使われていて仕事でもたまに出てきます。なんとい
っても普通購入すると100万円単位でする回路シミュレータが、そこそこ使えて
解析規模制限もなく無料なので無理もないことです。
必要なモデルも最近は各社ネットで公開しているので、敷居も低いです。
(主に海外の他社の公開モデルもある程度最初から入ってます。昔は有料版使
う意義はモデルのサポートも重要だったような。)
SW電源回路でも収束しやすいよう過渡解析を調整してあるようですが、交流解析
も問題ありません。(標準表示が「ボーデ線図」なのはさすが電源回路向けですが
...。切り替えはできます。)

 あまり使ってなかったのですが最近仕事でもよく話に出てくるので使ってみる
ことに。さわった感じはかなりいい。操作性はまあ当然ながら有料版に及びま
せんが、必要最低限の機能はあります。GUIでは操作できなくても、Spiceの構
文で操作もできるのでたぶん自分でモデルを拡張すれば有料版に負けない位
の事は出来るようになると思います。(そこまで根性があればですが。)
 使いこなすにはSPICEの構文をある程度知っていたほうがいいと思います。

 モデル書式は説明書見る限りはSPICE3ベースみたいですが、PSpiceで使わ
れるモデル書式(方言)も通るようです。(SIMetrixもそうですが)よって、PSpice用
のモデルも基本的には書き直さなくても使えそうです。これは過去の財産である
自作モデルもそのまま使えてかなり助かります。
 一点注意は、トランジスタのモデルの命名で、このソフトは例えば"2SC2458"
とそのままでも認識しますが、PSpiceやSIMetrixではQ2SC2458と、頭にQをつ
けないと認識しません。よってつねにQをつけておく習慣をつけておいたほうが
、他のソフトに移行した場合悩まずにすみます。
(LTspiceを使った資料はつけてないことが多々あります。また三洋がwebで公開
しているモデルはQとか名前についてないので、自分でつける必要があります。)


 ポストでの波形の各種解析機能(例えば平均値や実効値の演算)は無いので、
色々計算したい場合は回路図上で測定回路組んで計算させるか別ソフトでやる
しかないでしょう。簡単な平均や最大最小実効値はシミュレーション時コマンドで
計算させることはできます。
各ノードの電圧電流間の演算は簡単に出来ます。よってインピーダンス等を計算
させることは可能です。

 試しに解析してみました。
 本ソフトでのアンプの解析記事はよく見るので、ここでは電源回路です。
 PhaseShift FullBridge カレントダブラ方式の14V 120Aの電源の解析例です。
 やってみると多少計算エンジンに癖があるようで、デフォルト値では異常に
解析時間がかかることがあります。(自作モデルの影響かも)ただ解析設定
を調整すると結構高速に解析するようになります。これだけできれば十分か
もしれません。

Psfb_lts1

Psfb_lts2 Psfb_lts3
右:ゲートパルス 左:各部の波形

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