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2011年12月18日 - 2011年12月24日

2011年12月23日 (金)

若松ガイガーの低温起動不具合

 世の中、福島第一原発の冷温停止「状態」のニュースが流れましたが
、主にそこから出た放射線を計るべく生まれた、若松通商のガイガーカ
ウンタにも「冷温停止」問題が。こちらは低温で起動しようとすると高圧
が出ないという現象です。
 現在本家のファームのかわりに使わせて頂いている、ファームを開発
配布しているブログを眺めていたら、車載使用で寒い日に使おうとすると
冷えた状態だと高圧が出ないという記事を見て、自分も試してみました。
 ただ車だと大変なので、家の冷凍庫に入れて暫く放置して見ました。
 結果は確かに同じような状態になります。

 原因を探るため、問題発生時ピコスコで高圧回路付近をあたってみる
と、発振は停止し、MOSFETのゲートはONもままな状態で、ドレイン
電流が流れ続け加熱してました。MOSの仕様から5Vで駆動するにはギリ
ギリなのでそのせいではと踏んでいたのですが、まさかONでラッチした
まま動作しているとは。電源を再投入すると正常に動作しました。
 ゲート電圧不足なのと電源ラインは電流制限がかかるので破壊はしな
いみたいですが、電源回路としては危険な状態です。ラッチは回路
上は電源再投入するまで直らないはずですが。過電流保護がどこかで
働いて電圧が一旦下がるともしかしたら勝手に復帰することがあるかも
しれません。また、DCINラインにはポリスイッチが入ってますが、USB経
由には無いので、USBに下手に電流容量の大きな電源を繋ぐと壊れる
かもしれません。

 対策方針として3つ考えられます。
1、MOSFETをゲート電圧閾値の小さいものにする。
2、MOSのゲートにDCカット回路か電流制限回路を付ける。
3、発振が止まらないようにする。

 1は現在600V耐圧ですが、200VもあえばいいのでもっとON電圧の低い
もののほうがいいと思います。実は電源は5Vなんですが、逆流防止に
ショットキーバリアダイオードが入っていてそこでも電圧低下があり、実質
4.8V位しかかかってません。低温ではここでの電圧ドロップも大きくなり
起動を難しくしています。ただし同時に発振回路のラッチも解決しておか
ないと危険です。
 2、はゲートONしっぱなしにならないよう、直流をカットするものです。
数点の部品で出来るはずですが、狭いところに増設するのは面倒です。
ただ安全を確実にするには入れたほうがいいのですが。
 3、は発振がゲートON状態で停止しないようにするものです。回路を読む
とこの対策は簡単なことがわかります。発振さえ停止しなければ最初動作
不安定でも、あったまってくればそのうち正常動作になるはずです。

 ということで、だらだら書いてきましたが、とりあえず一番簡単な対策の
3だけ行ってみました。
 R1はデフォルト100kΩですが、少し大きくすると上記停止状態に入ら
なくなります。カットアンドトライで今は135kΩにしています。予定通り冷
凍庫レベルではラッチ停止は回避するようになりました。ピコスコで見る
と最初不安定に発振してますが、そのうちラッチすることなく連続発振に
入りそのまま正常動作に移行しました。

 どうしてこれでラッチしないのかは気が向いたら追記して書くかもしれ
ません。

  高圧回路の発振回路はヒステリシスインバータを使ったCR発振回路
電圧制御機能を付加したものす。Tonは主にR1 C23の時定数で決まり
ToffはR2 C23で決まります。このためToffはほぼ固定されます。Tonは
R1からの電流によりC23を充電してその充電時間で決まります。
 ここでR1のOPAMP側は0-約Vccまで変化するので、それに伴い電流量
が変化し結果としてTonは電圧で可変することができます。
 MOSFETにはこの論理を反転させてゲートに印加しますので、上記Toff
の期間MOSはONします。結果としてMOSのON時間はほぼ一定で間隔
のみを、電圧で可変できることになります。
 

 ところでこの回路は、C23の充電電流が多くなると、LOのまま固定さ
れます。条件はR1とR2の分圧電圧+VFがHCT14の閾値以上になった
場合です。入力はHなので、その反転の反転でMOSのゲートはHのまま
になります。この現象は通常動作では起こらないようですが、低温でH
CT14の閾値の変化やVccの変化で起こるようです。R1=100kはぎりぎり
のところみたいです。

特に低温でMOSが正常にONできないとかで、最初の起動に失敗すると
、マイコンから基準信号は出るのに、FBの電圧は0ですから、OPAMP出
力はVcc付近で最大に張り付きます。このときに発振回路が上記LOのま
まになるとMOSがONし続けたまま反転させるきっかけが無くなり、その
まま固定されラッチした状態になります。

 ここでR1の値を大きくし充電電流を絞りVcc付近でも発振が継続するよ
うにすれば、MOSのゲートにはパルスがかかり続けます。時間が経ち温
まって正常にスイッチングできるようになればFB電圧も上昇し正常に制
御がかかるようになります。

Vco1

 発振回路のSPICEモデル。HCT14の良いモデルがないので書き換えて
ます。

Vco2_3

 閾値は必ずしも合致しませんが、このように下の制御電圧に対して
上の発振範囲は上限下限があります。上限で発振が止まらないように
したのが今回の対策です。

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